日本財団 図書館


 

ろ教えて頂きました。
息子の口から初めて、「お父さんし「お母さん」と呼ばれた日の感激は一生忘れません。文字も覚え言葉もたくさんふえました。普通の小学校に通うのは無理と思っていましたが、何とか珠洲へ帰り、普通の小学校へ入りました。
小学枝は何とか大丈夫だったのですが、中学へ入ってから少しずつおかしくなりました。私には、「勉強はわかる」と言っていたのですが、友だち関係が悪くなったようです。そんなときある先生から、「ろう学校の方へ行ってはどうですか」と言われました。
親としては今まで努力したのだから、せめて卒業まではと思いながらも、八年振りに金沢のろう学校を訪ねました。息子は帰りの汽車の中で、「ボク、金沢の学校へ行く。話しがはっきりわかるから」と自分から言い出し転校しました。
それからもいろいろなことがありましたが、その度に、先生方のアドバイスを頂き、真っすぐに伸ばしてくださいました。
高校、専攻科を卒業し、車の免許もとりました。在学中には「ほほえみの石川国体」の大会旗の誘導という大役もさせてもらいました。
平成五年、日野車体へ入社、金沢工場でトラックやバスを製造する仕事をしています。また、野球、スキーと友だちも大勢いて、明るく仕事も頑張っています。息子は今二十二歳。可愛いお嫁さんを見つけて、幸せな家庭を作ってくれるのを楽しみにしているこのごろです。
ここまでに指導して頂いた先生や、ともに苦労したお友だちの家族の方々に感謝してます。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION